5月20日、テスラ株が一気に10%も下落した。
「環境・社会・企業統治(ESG)評価の高い企業の株式で構成する『S&P500ESG指数』からテスラが除外されたこと。そして前日、イーロン・マスクCEOが過去にプライベートジェットのCAにセクハラをしていたという報道が出たのが影響した」(米紙記者)
マスク氏が保有するテスラ株はツイッター買収の原資と見られ、今後の動向に影響を与える可能性がある。
ツイッターとの交渉は一時保留中だが、この買収に懸念を示しているのがビル・ゲイツ氏だ。5月4日、ウォール・ストリート・ジャーナルのイベントでSNS上の偽情報について危惧しており、マスク氏によりツイッターが「悪化する可能性がある」と述べたのだ。
ゲイツ氏の総資産は1290億ドル(約16兆4000億円)、マスク氏の総資産は2190億ドル(約27兆9000億円)。実はこの大富豪の二人は、これまで何度も口喧嘩をしている。
一つ目の争点はテスラが製造している電気自動車(EV)。20年8月にゲイツ氏は、多くの車にクリーンな電気が使用されるべきだが、トラックなど大型・長距離走行車のEV化はバッテリーのサイズが大き過ぎるため「現実的ではない」と言及。するとEVトラックを製造しているマスク氏は、「何もわかってない」と反論した。するとゲイツ氏は翌年2月、テスラのEVが気候変動抑止に貢献していると褒めた上で、乗用車での取り組みは簡単だとイヤミを一言。「気候変動対策は、取り組みが困難な鉄鋼、セメント、食肉業界で行われる必要がある」と付け加えたのだ。もちろんゲイツ氏所有のEVはテスラではなくポルシェだ。
二つ目はマスク氏が熱を上げている仮想通貨。テスラ社はビットコインに15億ドルの投資をしているが、ゲイツ氏は全くしていない。そして21年2月、ゲイツ氏は仮想通貨熱に注意喚起。「マスク氏ほどのお金を持ってない人は、気を付けた方がいい」と語った。
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source : 週刊文春 2022年6月2日号