今月下旬の株主総会を前に、地方銀行が揺れている。英投資ファンド「シルチェスター・インターナショナル・インベスターズ」が岩手、滋賀、京都、中国の地銀四行に対し、突如として株主提案を行ったのだ。

「(1)各行が保有株式から得る年間配当の100%、(2)本業の融資業務で得る純利益の50%――に相当する金額を株主に還元するよう求めたのです。これは年間普通配当の二倍以上に相当する要求で、地銀四行は取締役会で拒否しました。ただ、シルチェスターは岩手、滋賀、京都三行の筆頭株主であり、中国銀行株も5%以上を保有している。その影響力は否定できません」(地銀関係者)

 シルチェスターは、モルガン・スタンレー出身のスティーブン・バット氏が1994年にロンドンで設立した投資ファンド。米国の年金基金など750を超える顧客から運用の委託を受けているという。

「シルチェスターはPBRが0.5倍以下、ROEが3%以下といった財務指標をベースに割安株を選んで投資しています。今回の地銀四行はいずれも、PBRは0.5倍以下。日本企業には95年から投資しており、地銀のほか、建設、不動産、情報通信など運用する顧客資産は今年3月末時点で、1兆9000億円を超えます」(市場関係者)

 だが、シルチェスターは自ら「アクティビスト(物言う株主)投資家ではない」と明言している。実際、これまで表立って株主還元の拡充など過激な要求を投資先企業に突き付けたことはなく、むしろ“穏健派株主”と呼ばれてきた。当該の地銀四行に対しても株主提案したことは皆無。それがなぜ、一転してコワモテ姿勢に豹変したのか。

「背景は二つあります。一つ目は、シルチェスターは地銀再編が進み、地銀の企業価値が上がると見ていました。ところが想定の投資期間を過ぎても、再編が進まないことにしびれを切らしたのでしょう。二つ目は、米国の金融政策。シルチェスターに運用を委託している米国の年金基金などが金利の上昇に伴い、投資の回収を急いでいると見られます」(メガバンク幹部)

 一方、シルチェスターの動向に関心を寄せるのが、同じく地銀再編を仕掛けるSBIホールディングスだ。

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source : 週刊文春 2022年6月16日号