「運と、多少の人柄だ」
6月9日の自民党議員のパーティーで、安倍晋三元首相が明かした宰相のイスを射止める秘訣である。安倍氏の前に挨拶に立ったのは茂木敏充幹事長(66)。自らの経歴を紹介した上で「幹事長より先は未踏の地だ」と強調した茂木氏の言葉を念頭に、安倍氏は「幹事長までは実力。あとは大きく言えば運だ。運は自分でつかんでいくということなのだろう」と語り、会場の笑いを誘った。
「茂木氏は、内心ではイラッとしていたでしょうね」(政治部記者)
何しろ「首相」の経歴を除けば、茂木氏は安倍氏よりも要職経験はよほど豊富だ。これまでに経済産業相、党選挙対策委員長、党政調会長、経済再生相、外相、党幹事長を歴任。茂木派の源流である派閥を率いた田中角栄元首相はかつて、首相の条件として「党三役のうち幹事長を含め二つ」「蔵相(現財務相)、外相、通産相(現経産相)のうち二つ」を挙げたが、
「現職で条件をクリアしているのは、麻生太郎副総裁と茂木氏。麻生氏は首相退任後に財務相に就いたので、首相の前に基準を満たしたのは茂木氏のみ」(前出・記者)
茂木氏の力量が、折り紙付きなのは誰もが認めるところだ。
だが、安倍氏に指摘されるまでもなく、茂木氏の「人柄の悪さ」も折り紙付きだ。念願の外相就任直後は「イライラも少なくなった」と評判だったが、すぐに、経産相時代に官僚に「取扱説明書」が出回ったほどの「瞬間湯沸かし器」ぶりが復活。昨秋の幹事長就任後も「宰相の座を見据えて変わった」と言われたが、結局地金は隠せない。
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source : 週刊文春 2022年6月23日号