コロナ禍による経営危機は、世界遺産にも及んでいた。15日、奈良・法隆寺が「境内整備費」を募るクラウドファンディングを開始したのだ。
檀家を持たない同寺は、拝観料が主な収入源。コロナ流行前の拝観者数は年間約65万人だったが、21年度は約35万人と激減している。「この2年、植木の剪定や除草費用を切り詰めてきましたが、いよいよ限界が参りました」と大野正法執事長は肩を落とす。
「放置した樹木が塀を越えるほど生い茂ってしまって……。来年の世界遺産登録30周年に向けて、もとの美しい境内に戻さなくてはと決意しました。お越しいただくのが難しいならばと、クラウドファンディングに踏み切ったのです」(同前)
目標額の2000万円をわずか一晩で達成。支援者は4000人を超え、1億円に届く勢いだ。
「私どもは創建から1400年を超える歴史のうち、ほんのひと時をお預かりしているに過ぎません。できる限りそのままの形で、次の世代へと受け継ぐのが使命でございます。これだけ多くの方が共に支えてくださっていると思うと本当にありがたい。力が湧いて参りました」(同前)
“伽藍堂”が参拝者で賑わう日も近い。
締切りは7月29日。限定御朱印などの返礼品も
https://readyfor.jp/projects/horyuji
☎0745-75―2555
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source : 週刊文春 2022年6月30日号