6月23日に行われた日本証券金融(櫛田誠希社長)の定時株主総会で、アクティビストが日銀の相次ぐ天下りに噛み付いた。
「日本証券金融は、信用取引の株券の貸付けや資金貸付けを行う日本で唯一の証券金融会社です。社員約240人を抱え、東証プライム市場に上場。売上高は300億円前後で推移しています」(メガバンク幹部)
だが今回、旧村上ファンド系のストラテジックキャピタルが同社に対し、初の株主提案に踏み切ったのだ。(1)歴代10人の社長はいずれも日銀の元理事、(2)常務以上には日銀の局長経験者が就任、(3)現執行役の平均報酬(5027万円)は日銀総裁の報酬(約3500万円)を大きく上回っている――などと指摘。天下りが「株主価値向上のインセンティブを失わせ、企業価値の低迷を招いているのでは」として役員の個別報酬開示などを要求した。議案は否決されたが、
「実は日銀の天下り先は日本証券金融だけではありません。あまり知られていませんが、非上場の短資会社にも日銀OBが何人も天下っています」(同前)
日銀との間で短期金融市場、外為市場、デリバティブ市場などの仲介業務を手掛けている短資会社。統合を経て現在は東京短資、セントラル短資、上田八木短資の三社に集約されている。最も大きい上田八木短資の売上高は約64億円だ。
「日銀にとって、短期資金のやり取りは自前のシステムで十分対応できるもので、わざわざ短資会社を間に噛ませる必要はない。それでも短資会社を介在させるのは、日銀が天下りポストを残しておきたいからだと言われています」(同前)
実際、東京短資の後昌司社長は83年日銀入行で元仙台支店長。セントラル短資の丹治芳樹社長は83年入行で元情報サービス局長、谷村龍太郎会長は76年入行で元文書局長。上田八木短資の市川能英専務は84年入行で元福岡支店長だ。
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source : 週刊文春 2022年7月7日号