「被告人を懲役9年に処する――」
2013年1月29日、韓国の春川地方法院(地方裁判所)の法廷。被告人のM子(当時52)は、統一教会員の日本人妻だった。前年8月、韓国人の夫(当時51)の口元をタオルで塞ぎ、殺害したのだ。合同結婚式から17年。教団が掲げる“理想の家庭”とはかけ離れた末路だった。
M子は、36万組が参加した1995年の合同結婚式を経て渡韓した。病弱だった夫は常に無職。逮捕後、M子はこう供述している。
「結婚してからずっと、貧乏や夫の飲酒、乱暴に苦しんできた」
収入は、国から出る夫の基礎生活受給(生活保護費)とM子が家政婦などで得た稼ぎ、日本円にして月10万円足らず。02年、夫が腎臓病を患うと、人工透析の治療費などが家計に重く圧し掛かった。ところが、夫は酒を飲んでは暴言を吐き、物を投げたり、家具を壊したりした。
「生活苦に喘ぎながらも夫を扶養し、看病してきたM子はやがて鬱病に。夫を殺害した後、精神鑑定で軽度の適応障害だったことも判明した。判決では、こうした背景も情状酌量として認められている」(韓国の司法関係者)
M子はいったん控訴したものの、後に取り下げ、韓国の刑務所に服役する。
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source : 週刊文春 電子版オリジナル