コロナ禍で苦境に喘ぐ紳士服業界。大手4社の明暗がくっきり分かれ始めた。

 直近の今年3月期決算でも赤字から抜け出せなかったのは、3位のコナカ、4位のはるやまホールディングス。両社ともに、非アパレル部門をほとんど持たないことがマイナスに働いている。特にはるやまHDは小欄で報じたように、株主総会で会長と実姉が骨肉の争いを演じるなど、経営の迷走を重ねてきた。

青山商事の売上高は1659億円(今年3月期)

 一方、カラオケ店を展開するなど経営の多角化に成功していたのが、2位のAOKI。ところが、

「五輪汚職事件で、創業者の青木拡憲前会長ら3人が贈賄容疑で逮捕されました。青木氏はスーツ市場が頭打ちになる中、五輪スポンサーをテコとしたブランド力アップに期待を寄せていた。イメージが大事な業界なだけあって、ダメージは深刻です」(銀行関係者)

 そうした中、業界で1人勝ちに転じたのが、首位の青山商事だ。

「青山は全体収益に占めるスーツ事業の割合が約7割と高かった分、コロナ禍やスーツ離れの影響が大きかった。昨年3月期は約388億円の赤字に陥っていました。ところが今年3月期には、約13億円の黒字へと業績をV字回復させたのです」(同前)

 一体、何があったのか。

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source : 週刊文春 2022年9月1日号