逮捕直前、小誌記者に計3時間にわたって語っていた高橋容疑者。そこで飛び出たのは、「電通は五輪で儲けた」という言葉だった。なぜ彼は、AOKIから多額の金銭を受け取ったのか。ある音声にはその核心部分が――。
あの東京五輪開会式から、ちょうど1年後の7月23日。男は自らが経営するステーキ店で、小誌記者にこうボヤいていた。
「家から出る時、若い記者がマイクを突き付けて『賄賂を貰ったんですか!?』って聞いてきたんだよ。失礼だろ! 読売は『AOKIのために(公式商品の)審査を早めた』って報じたけど、言ってないことを書かれた。山口(寿一)社長に抗議しようとしたが電話に出なかったんだ」
3日前の7月20日。読売新聞が朝刊一面トップで〈五輪組織委元理事4500万受領か 東京大会スポンサー AOKIから〉と報じ、男の自宅には記者が殺到していたのだ。
「AOKIは『顧問になって欲しい』と契約書を作ってきたけど、そこには五輪の『五』の字も無い。青木(拡憲)さんからは、『こんなこともあんなこともお願いしたい』っていう話はあったけど、僕は『ハイハイ』と言うだけで、一切(要望を)聞いてない。悪いこともしてないし、捜査される話じゃないと思ってる。森(喜朗)さんにも報告したけど、『酷ぇな』って言ってたよ」
そして、こう語った。
「電通は儲けたね。組織委には200人以上出向させて1年延期になったけど、それでも儲けたね」
強気な口ぶりで語った男、電通元専務の高橋治之(78)。東京地検特捜部に受託収賄容疑で逮捕されたのはそれから約3週間後、8月17日のことだった。
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source : 週刊文春 2022年9月1日号