「反共」「勝共」を掲げ、日本の保守勢力と結びついた統一教会。しかし日本が北朝鮮による拉致被害などで制裁へと突き進む1990年代に同国への莫大な資金提供を繰り返す。取材から浮び上がる「偽りの保守」の姿とは。

 韓国・ソウルから車で約2時間。京畿道加平郡の山間部に聳える「清心平和ワールドセンター」は、合同結婚式の会場にも使用される統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の大型イベント施設だ。後に山上徹也容疑者の暴発を招いたとされる、安倍晋三元首相がビデオメッセージを送った教団関連団体の行事が開催された場所でもある。

「清心平和ワールドセンター」の垂れ幕
抱擁しあう2人の写真が中心に

 今年の夏、同施設正面の外壁に、巨大な3枚の垂れ幕が掲げられた。ハングルで〈平和と統一の先駆者〉と綴られた中央の垂れ幕。その写真の中で、教団創始者の文鮮明氏と満面の笑みで抱擁を交わしているのが、北朝鮮の初代最高指導者・金日成氏である。

1912年生まれとされる金日成

「2012年の文氏の死去から9月で10年。それに合わせて北朝鮮は、8月13日、国の対外関係窓口である朝鮮アジア太平洋平和委員会を通じ、文氏の妻で総裁の韓鶴子氏(79)ら遺族宛てに弔電を送っている。文氏の功績を称える内容で、今も北朝鮮と統一教会が良好な関係にあることを示唆しています」(外信部記者)

 反共産主義を掲げてきた文氏の統一教会は、ある時を境に北朝鮮と手を結んだ。そこには、どんな思惑があったのか。

 文氏は1920年、現・北朝鮮領定州の農村で生を享けた。キリスト教長老派の信者だった文氏が北朝鮮で宣教を始めたのは、日本による朝鮮統治が終わった翌年46年5月。だが、その2カ月後、朝鮮共産党に南側(韓国)のスパイ容疑をかけられ、逮捕される。

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source : 週刊文春 2022年9月8日号