出版社枠の五輪スポンサーについて、森会長が語る音声が残っている。「講談社だけは相容れない」「こんなものを認めるなら辞めようと思う」。そして講談社は排除され、電通元専務がKADOKAWAを――。

 その「音声」には、東京五輪組織委員会の森喜朗会長(当時)の決定的な発言が残されていた。

組織委会長だった森氏

 東京五輪の延期が正式に決定する直前の2020年初春。森氏は小社の取材に応じていた。当時、盛んに報じられていたのが、森氏と小池百合子都知事との対立だ。取材の音声には、小池氏への不満も記録されている。

「私の組織委員会を、何をもって伏魔殿だとか、悪の巣窟だと言われるのか、納得できないよ」

 次第に上がっていく森氏のボルテージ。そして取材も終盤に差し掛かる頃、こう切り出したのだった。

「俺も喧嘩すると絶対にしつこいから――」

 だが、怒りを向けた喧嘩の相手は因縁の小池氏ではない。この言葉に続けて批判を重ねたのは、五輪スポンサーを目指していた有名出版社の実名だった。

 
電通元専務の高橋容疑者

 五輪汚職事件が動き出したのは、それから約2年半が経った今夏。電通元専務で組織委元理事の高橋治之容疑者が8月17日、受託収賄容疑で逮捕されたのだ。

「紳士服大手のAOKIホールディングスから大会スポンサー選定などで便宜を図った見返りに、自身が経営する『コモンズ』のコンサルティング料名目で計5100万円を受け取った疑いです」(社会部デスク)

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source : 週刊文春 2022年9月15日号