癒し、フェミニズム、街歩き、自由とは…あの大学には「名物講義」があった

中岡 愛子
ライフ 社会 教育

 社会人の学び直し=リカレント教育が注目を集める今、リアルなキャンパスで学生に人気の講師陣による“知の片鱗”をご紹介。

予測不能な時代こそ「悪魔祓い」の回復力|上田紀行さん(東京工業大学)

副学長/リベラルアーツ研究教育院 教授

1958年生まれ。専門は文化人類学。東京大学大学院博士課程単位取得退学。ロングセラー『生きる意味』(岩波新書)ほか、『スリランカの悪魔祓い』(講談社文庫)、『覚醒のネットワーク』(アノニマ・スタジオ、他)など

撮影 志水 隆

 自分の顔よりも大きなお面を手に、「私の化身です」と上田紀行さん。1986年からスリランカで「悪魔祓い」のフィールドワークを行い、文化人類学の立場から研究した「癒し」がブームに。「孤独な人に悪魔は憑く」といわれ、生きる気力を失った人をまわりが元気にする現地のエネルギッシュな儀式に、現代社会を生き抜くヒントを見つけた。

 96年東京工業大学に着任し、「根本的な問いを立てることが苦手」な学生の増加に危機感を覚えるように。2016年、文理融合教育を目的としたリベラルアーツ研究教育院の初代院長に就任し、他大学の学生も交じえた少人数ゼミや、ワークショップやディスカッションを大胆に取り入れた授業を担当するなか、テーマに掲げるのは「癒し」、そして「立ち直る力」だ。

「3年生の授業でバリ島のケチャ(合唱舞踊劇)をやるんですが、四部合唱をパートごとに練習して、50人から多いときは100人以上で合わせます。面白かったのは、満員電車で孤独を感じて自分は何のために生きているんだろうと思っても、この車両に自分と同じリズムを持っている人がいると思うだけで救われます、と言った学生がいたことです」

 大学院では社会人も多く指導し、修了生にはセラピスト、看護師、漫画家も。「人間はどんなときに苦しんで、そこからどう立ち直っていくか。どの教育でも、“論理を鍛えた上で体で考える”をかなり重視しています」

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source : 週刊文春 2022年9月22日号

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