「その教授の意に沿わない意見を述べた学生は即留年。学生たちは常に恐怖を感じ、萎縮しています」
そう語るのは、群馬大学医学部の卒業生だ。
1873年創立の国立群馬大学は、医学部医学科に767人(5月現在)の学生を抱える。予備校大手・河合塾によると医学部の偏差値は65。入試難易度は地方国公立大学としては中堅クラスで、卒業生は群馬県内を中心に関東近郊の病院などで活躍している。
だが、前橋市内の緑豊かなキャンパスで今、異変が起きているという。
「2020年度に医学部医学科に入学した112人は、順調なら今は3年生ですが、今年前期までの2年半ですでに約3分の1にあたる約40人の学生の留年が決まりました。しかも、そのうちの24人は、一人の教員の授業で必修科目を落としたのです」(同前)
学生の演劇だけで評価 今年は8人が事実上留年に
医学部は1年間の授業の多くを必修科目が占め、必修科目で一つでも落第点を取れば進級はできない。さらに群馬大学の場合、翌年は次の学年の授業を取ることができず、落第した科目の単位を取るためだけに1年間大学に通わなければならないという。そのため多くの教員は、「救済措置」として再試験や補講を課して、なるべく留年する学生を少なく抑えようとしているが、この教員はそうした救済措置を取らないのだという。
その教員とは服部健司教授(63)。専攻は医学哲学・倫理学で、学部生向けに「医の倫理学」と「医系の人間学」という授業を受け持っている。
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source : 週刊文春