サプライズの連続だった。中国の将来を決める中国共産党の第二十回党大会は終わってみれば習近平総書記の一人勝ち。事前のメディアの予想はことごとく外れた。中国という人口14億人を有する巨大国家は、外からの合理的な分析が一切通じない本当の独裁国家になったことを物語る。中国国内でも、大会の前からトイレのあちこちで「独裁はいらない、民主が欲しい」という書き込みが広がったとされているが、もはやそこしか理想を表現する場所はなくなったという人々の絶望を示している。
外交では強硬な戦狼外交を忠実に担った王毅外相が政治局員24人に入った。一方で、劉鶴副首相ら現実主義の経済政策の専門家はことごとく外された。農業や貧困の政策で業績を上げた胡春華副首相はトップ7人どころか24人にも入らず、降格という屈辱を味わった。全国人民代表大会常務委員長と予想された李克強首相もあらゆるポストから外れる「裸退(完全引退)」に。両氏の出身である中国共産主義青年団(共青団)は壊滅的な状態だ。
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source : 週刊文春 2022年11月3日号