《「SEC(証券取引等監視委員会)の捜査をセネ社が受けている」ということを伊藤豊審議官から聞きまして「その捜査を止めてほしい」と依頼しました。伊藤さんは「止めます」という約束をしてくれました》
法廷で飛び出したのは、“次の金融庁長官”と言われる男の名前だった。
先端医療を手掛けるセネジェニックス・ジャパン元取締役の竹森郁被告ら3人が金融商品取引法違反(偽計)などで逮捕されたのは、今年2月のことだ。
「セネ社は新型コロナ治療薬の開発を巡って業務提携していたバイオベンチャー企業・テラの株価を吊り上げるため、20年10月、同社に虚偽情報を公表させたとされています。当時、テラの関係先として、“令和のフィクサー”として知られる大樹総研会長の矢島義也氏も家宅捜索を受けました」(社会部記者)
10月19日午後、東京地裁の813号法廷。被告人質問で証言台に立った竹森は、落ち着いた口調で以下のように話し始めた。
《令和2年(20年)7月2日の午後5時に矢島さんの経営するレストランで、矢島さんと伊藤さんと私、3人で会いました》
そして冒頭のように、旧知の矢島氏に紹介された伊藤氏に「セネ社に関する捜査の中止」を約束してもらったというのだ。竹森は次のように証言を続けた。
《その日の会費、食事代約10万円を私が負担しましたし、高級ワイン、オーパスワン。1本5万円くらいするワインを2本買って、伊藤審議官に渡しました》
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source : 週刊文春 2022年11月3日号