〈何のために国民を戦争に送るんだ? 1948年製のヘルメットだと?〉
布がほつれ、青いガムテープで補修された防弾チョッキを手にカメラを睨む若者。「動員されたロシア兵らの訴え」とされる写真に付けられたコメントだ。
ウクライナ侵攻の開始から250日が過ぎ、ロシアの劣勢が露(あら)わになってきた。筑波大学名誉教授の中村逸郎氏が話す。
「当初、19万人が動員されたというウクライナ侵攻ですが、実際には15万〜17万人だったという見方があります。このうち少なく見積もっても3割、多くて5割ほどが、既に戦死するか、戦闘できないほどの重傷を負うか、逃げ帰る、投降するなどして、戦場から『消失』したとされる」
アメリカ国防総省は、8月の段階で、ロシア軍は7万〜8万人が死傷したとの見方を発表しており、半分近い兵力が戦闘不能であることは間違いないようだ。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が語る。
「ウクライナの反転攻勢が9月から続いています。南部のヘルソンでは、ロシア軍はドニエプル川西岸で橋を壊され、最大25000人が孤立している」
クリミア大橋での爆発を受け、ロシアは「報復」として10月にはウクライナの首都キーウを含む全土のインフラ施設をミサイルやドローンで攻撃。続いて核ミサイル演習を実施、さらにプーチン大統領は「ウクライナが『汚い爆弾』(放射性物質を拡散する爆弾)を使用する」と喧伝している。
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source : 週刊文春 2022年11月10日号