「解放に向けて常に尽力してくださった方々のおかげです。本当に言葉では言い表せないほどの感謝を感じています」

 11月18日朝の羽田空港到着ロビー。集まった報道陣を前に一礼し、時折言葉を詰まらせながら心境を語るのは、映像作家の久保田徹さんだ。

撮影 吉田暁史

 久保田さんがミャンマー国軍に拘束されたのは今年7月末のこと。ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャへの迫害の実態を取り上げる活動で、渡航は十数回に上っていたという。煽動罪をはじめ3つの罪で、計10年の禁錮刑判決を言い渡されていた。拘束の長期化が懸念されていたが、今月17日、突然の恩赦により約3カ月半ぶりに解放されたのである。

 到着ロビー出口付近には、在日ミャンマー人や十数人の友人らの姿が。帰国を願い続けた支援者からの「頑張ったね!」「お疲れさま!」とのねぎらいの声に、久保田さんは時折笑みを浮かべ、再会の喜びを味わっていた。友人で俳優の今野誠二郎さんが話す。

「帰国日の夜、久保田さんと一緒に食事しました。40時間寝れていないらしく、とても疲れていました。そんな中、彼は今も拘束中のミャンマー人の映像作家テインダンさんのことを話していました。『彼の力になりたい』と、帰国早々、ミャンマーに残る問題を話していたことが印象的でした」

撮影 吉田暁史

 収監されていたインセイン刑務所では、暴力などの不当な扱いはなかったというが――。

「逮捕されて悔しかった。でも、ミャンマーで生きる彼等の悔しさの方が何百倍も大きいと思います」

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source : 週刊文春 2022年12月1日号