いよいよ年末、大学受験生はそろそろ最終的な志望校や学部を絞り込まねばならない季節だ。そこで今回は歴史家になるための大学での学びについて、お話しすることにしよう。
歴史学を勉強するには、ふつう大学の文学部史学科に入学することになる。史学科に入って最終的に目標とされるのは、卒業論文(卒論)の執筆である。そこで学生は自分の興味関心に基づいて課題を設定し、文献や史料を読み込み、研究のマナーに従いながら独自の論考を組み立てていくことになる。ただ、残念ながら歴史が大好きな人が大学の史学科に入って最初に幻滅してしまうのが、この「独自の論考を組み立てる」というところなのだ。
たとえば、「上杉謙信が大好きなので、謙信がいかに義に篤い武将であったかを明らかにしたい」みたいな問題関心で卒論に取り組むと、だいたい結果は悲惨なことになる。
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source : 週刊文春 2022年12月22日号