いつもは地味な石段も、この時期だけは特別仕様。新内閣発足時の首相官邸の階段のように、赤い毛氈(もうせん)に覆われる。その上にずらりと並んでいるのは、右大臣と左大臣など、約1800体の雛人形だ。
写真は千葉県・勝浦市の遠見岬神社。2月24日から3月3日までの間、市内各所で総数約7000体の雛人形が飾られる「2023かつうらビッグひな祭り」の最大の展示場所だ。コロナ禍の影響で、実に4年ぶりの開催となった。
会期中は雨天時以外、地元住民らが毎朝雛人形を飾り付け、夜は片付けを行っている。この日2月25日は、約40人のスタッフが遠見岬神社に集まり、100以上のタッパーに入った雛人形をバケツリレーのように60段の石段の上に運んで飾り付けを行っていた。
初参加のボランティアは「思ったより大変」と苦笑するが、石段の上で雛人形を並べる担当を務めた商店会の女性は、慣れた様子で並べ方のコツをこう語る。
「綺麗に並べるのも大事ですが、気を付けるのは、風で人形が倒れてドミノ倒しにならないようにすること。倒れやすい立雛は、段の奥に置くなどの工夫をします」
ドミノ倒しを避けるため細心の注意が払われている雛人形の“内閣”。昨年辞任ドミノに苦しんだ我が国の内閣は、大丈夫?
撮影 三宅史郎
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source : 週刊文春 2023年3月9日号