今も色褪せぬ震災の記憶。そこにはあの日と今日を繋ぐ語り部の存在があった。年代も立場も異なる3人の胸にそれぞれ秘められた“語り続ける決意”に迫る。

「語り部バス」ガイドが貫く“生きるための”言葉|宮城県・南三陸町 伊藤 俊さん

「もうすぐあの日から12年が経とうとしています。そういえば、2011年は卯年だったんですね」

 バスが走りだすとガイドの伊藤俊さん(47)は、窓の外に聳え立つ防潮堤を見ながら語り始める。

「南三陸ホテル観洋」が2012年2月から運行する「語り部バス」。毎朝8時45分から1時間、宮城県・南三陸町内を回り、ホテルスタッフが被災時の経験と現在の町の様子を伝え続けている。

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source : 週刊文春 2023年3月16日号