去年、人工中絶を女性の権利とした判例を覆したアメリカ連邦最高裁判所。今年も暴走を続けている。

 連邦最高裁は9人の判事の多数決で憲法判断を決定する。判事を任命できるのは大統領だけ。一度任命されたらまず罷免できない。入れ替わるのは判事が引退するか死ぬか弾劾されたときだけ。それは司法に対する権力の介入を防ぐためだが、現在、判事9人中6人が共和党の大統領の任命なので、圧倒的多数の力で次々と共和党的な、つまり白人の金持ちに有利な判決を下している。

 今回、最高裁は、名門ハーヴァード大学などが入学審査において黒人(アフリカ系)やヒスパニックを優遇していることを違憲とした。この判決によって全米の大学で半世紀も続いてきた「アファーマティヴ・アクション」に終止符が打たれることになるかもしれない。

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source : 週刊文春 2023年7月27日号