「人類の始まりから、女の子たちはお人形遊びをしていました。それはいつだって赤ちゃんの人形でした」
映画『バービー』は、少女たちがエプロンをつけて赤ちゃん人形とおままごとをする姿で始まる。おままごとは母親になるための練習だった。
ところが1959年にアメリカで発売された着せ替え人形バービーは画期的だった。モデル体型で化粧は濃く、着せ替え服はパーティ向けが基本。それまでの社会が女性に押し付けていた「良妻賢母」の正反対だった。
バービーで解放された少女たちは赤ちゃん人形を叩き壊す。それは『2001年宇宙の旅』で人類の祖先が初めて「武器(こん棒)」を手にして興奮する「人類の夜明け」のパロディだが、このオープニングだけで、この映画、出資元はバービーの発売元マテル社だが、子どもにおもちゃを売るための映画じゃないことがわかる。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2023年8月31日号