第一次安倍政権で、20も歳下の宰相に請われて官房副長官に就任した的場順三。退陣後も折に触れ安倍の相談に乗っていた老参謀は「安倍総理のことを忘れ去られるのは辛い」と、知られざる秘話を明かし始めたのだった。
1年の短命に終わった第一次安倍政権と7年8カ月の長期におよんだ第二次政権。違いはどこか、とよく問われるが、実のところ、共通点も多い。
首相を支えた取り巻きの顔ぶれもその1つだ。第二次政権では、東海旅客鉄道(JR東海)元会長の葛西敬之が主宰してきた「四季の会」が有名になった。もとはといえば四季の会は、葛西の東大の同級生だった与謝野馨を支援するために結成されたが、与謝野自身が「もっと若く有望な政治家を首相に」と推薦し、2003年以降に安倍応援団に衣替えされた。
ちょうどその頃のことだ。第一次安倍政権で官房副長官に就く的場順三(88歳)は、別の「安倍を首相にする会」を組織した。
「これが、メンバーです」
そう言いながら、的場本人が、会の運営ノートを引っ張り出して見せてくれた。ノートを開くと、会は1つだけでなく3つある。うち「安倍先生を囲む会」と名称のついた集まりもあるが、残り2つには会の名前がない。極秘の会合である。それらは葛西の「四季の会」に対抗するかのように04年1月から密かに開かれてきた。
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source : 週刊文春 2023年9月14日号