一般社団法人「全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)」が運営する「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」が10月10日午前、50年間の歴史で初となる障害を起こした。
「三菱UFJ銀行など11の金融機関で他行宛の振込ができず、自行宛の振込も受け付けられない状態が続いた。企業では給与口座への振込ができず、個人では引き落とし口座への入金ができないなどの事態に陥りました」(銀行関係者)
復旧までにほぼ2日もかかり、影響を受けた取引は500万件超。特に商取引などの決済が集中する「五、十日(ごとおび)」だったこともあって、影響は広範囲にわたった。原因について全銀ネットの辻松雄理事長は11日夕、「問題は全銀ネットのRC(中継コンピューター)で使われる特定のプログラムにあった」と説明したが、人災の可能性も指摘されている。
「全銀システムは、定期的にシステムの更新を実施しています。コアタイム(午前8時半〜午後3時)で使われているRCは、耐用年数などから順次更新の時期になっていた。そのため、今月7日〜9日の三連休で、新たなソフトウェアへの最初の更新を実施しました」(前出・銀行関係者)
障害はその更新のタイミングで起こった。
「ただ、10日夜の時点で原因は、ほぼ新RCの内国為替制度運営費プログラムにあることが特定されていました。このため、新RCへの移行を停止し、更新前の状態に戻す選択肢もあった。ところが、全銀ネットは更新を強行。結果としてプログラムの修正に2回失敗し、障害が長期に及ぶ形になりました」(同前)
この失態について、金融庁幹部は「全国銀行協会のガバナンスの問題でもある」と指摘している。
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source : 週刊文春 2023年10月26日号