半世紀ぶりの裁判が始まった。1966年に静岡県のミソ製造会社専務一家4人が殺害された事件で強盗殺人罪で死刑が確定した袴田巌(いわお)さん(87)の裁判をやり直す再審初公判が10月27日、静岡地裁で開かれた。死刑が確定した事件の再審は戦後わずか5例のみだ。
「弟、巌に代わり、無実を主張します。巌に真の自由をお与え下さい」
地裁の法廷で開かれた初公判で、被告人席に立ったのは巌さん本人ではなく、姉のひで子さん(90)だった。
「ひで子さんはとても90歳とは思えないほど背筋をピンと伸ばし、傍聴席の隅々にまで聞こえわたるような声で弟の代わりに無罪を主張しました。こんなに堂々と明るい表情で被告人席に立った人は前代未聞でしょう」(全国紙記者)
刑事事件の一審公判は必ず被告人が出廷しなければいけない決まり。異例の試みだが、それは巌さんがたどってきた数奇な57年を物語るものでもある。
死刑囚としての長い拘置所生活の中で拘禁症状が出て、巌さんは自分の年齢すら分からないような状態で、出廷が免除されたからだ。
「そんな巌さんに再審を認める決定が出て、釈放された9年前から一緒に住んでいるのがひで子さんです。半世紀前から無実を訴えていた巌さんですが、地元でも彼を犯人視する声が絶えないなか、一貫して無実を訴えてきました」(同前)
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source : 週刊文春 2023年11月9日号