約1000人が列を成した弟の葬儀。22歳下の愛人がひっそりと最期の別れを……。
「高橋さんがサウナで倒れて、高いびきをかいて起きないそうです」
2005年7月17日の午後、高橋治則の仕事仲間のもとに1本の電話が入った。彼が、神宮外苑のイタリアンの店のテラスで、友人とランチを食べ始めた時だった。
この日の東京は、朝から梅雨明け前の曇り空が広がり、湿度とともに気温がジリジリと上昇。午後には30度を超え、薄曇りの空へと変わった暑い日曜日だった。電話の主は、治則の秘書役の若い男性だった。治則と一緒にいた女性から、異変を知らせる連絡が入ったという。
2人は、赤坂の高級住宅街にある3階建ての一軒家にいた。1階のフロアは30帖ほどの広さがあり、ドライサウナやミストサウナが設えられ、浴室には水風呂も完備。約2年前に、サウナ好きの治則の意向で、接待にも使える“迎賓館”として関係会社がノンバンクから借入をして購入した物件だ。
秘書役の男性は、突然の出来事に戸惑い、冷静な判断ができないほど狼狽した口ぶりだった。症状を聞く限り、くも膜下出血の疑いがあった。
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source : 週刊文春 2024年1月4日・11日号