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 この連載をまとめた書籍「ホンボシ 木原事件と俺の捜査秘録」が6月25日に発売となります。

 

 連載から大幅に加筆修正を加えた完全版! 未公開エピソードもあります。


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「俺は死刑囚だから、言ってもしょうがないでしょ。言いませんよ、何も。いくら警視庁に連れて行かれても」

「でも、小田島さん、あんた、雑誌に投稿したんだから、それぐらい俺らにも言ってくれよ」

「いや、雑誌はお金をくれるからね。あんたらはお金もなにもくれないでしょ。俺は言わないよ」

「頼むよ。俺も調べ官だから、喋ってくれないと上司に怒られちまうんだ」

 碑文谷警察署での小田島の取調べは最初このようなものだった。

 爬虫類のような目で俺を見ながらそう語る小田島を前にしながら、俺は目の前にいるその男が凶悪な犯罪を起こしたとは思えないような気持ちになっていた。

 週刊誌に話をしたのは、女に金を渡すためだったという。死刑囚になっても女に金を残したいという小田島に、人間らしさを感じた、といってもいいのかもしれない。

 小田島は事件のこと以外については、こちらが不思議に思うほど普通に話す男だった。

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source : 週刊文春 電子版オリジナル