山上に“狂気の引き金”を引かせた母が、事件後初めて小誌記者の直撃取材に答えた。延べ100分に及んだ会話の中で、時に息子への想いを吐露する。信仰に話が及ぶと、「文鮮明先生はメシヤ」と饒舌に語り出した。

海自時代に射撃の名手として表彰された山上

 奈良県内の閑静な住宅街にある築50年近いアパートの一室に、その人は一人で暮らしていた。昼過ぎになると電動自転車で外出し、夕方頃に帰宅する。

 4月6日の夕刻、いつもと同じくアパート前の駐輪場に自転車を止めたところで声をかけた。

「文春さん? 何しに来はったんですか」

――もうすぐ事件から2年。どう過ごしているのか。

「まぁ元気にしてますよ」

――今の心境は?

「いらんこと書かれるから、何も言わんでおきます」

 小誌記者の質問を淡々と受け流すのは、2022年7月8日に安倍晋三元首相に“狂気の引き金”を引いた山上徹也被告(43)の母・A子さん(71)である。

記者の質問に答えるA子さん

 これまでメディアの取材に応じたことはほとんどなく、事件から1カ月後に小誌が接触した際も「関係ないですから」と言ったきり、沈黙を守り続けてきた。

 だが、今回小誌がA子さんの自宅アパートに連日通いつづけると、警戒心を滲ませながらも重い口を開き始めるのだった。延べ100分にわたり、山上の母が語った胸の内とは――。

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source : 週刊文春 2024年5月2日・9日号