水俣病患者団体への“マイク切り”問題で批判を浴びる伊藤環境相。なぜ、彼らに寄り添うことができないのか。父の代から地元で秘書を務めてきた人物はこう嘆くのだった。「信太郎は六本木育ちのお坊ちゃんだから……」。

 

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「若い頃、選挙の手伝いに来る度に連れてくる女性が違っていて、また奥さん代わったんだなと思いながら見ていました。毎年、親父さんの墓参りに行ったことを報告していましたが、信太郎からお礼を言われたことは一度もありません。悪気はないのでしょうけど、情を感じない。六本木育ちのお坊ちゃんだから……。水俣病の件だって、本当に被害者と向き合おうという気持ちがあるなら、絶対に起こらないことです」

 小誌の取材にこう嘆くのは、伊藤宗一郎元衆院議長(故人)の秘書を務めた阿部五一氏。「六本木育ちのお坊ちゃん」とは、宗一郎氏の長男・伊藤信太郎環境相(71)のことである。

党国際局長などを歴任

 政治部記者の解説。

「伊藤氏は2001年、宗一郎氏の死去に伴う宮城4区の衆院補選で初当選。麻生派に所属し、08年、外務副大臣に起用されました。現在、当選7回。昨年9月の内閣改造で環境相として初入閣を果たします」

麻生派に所属

 そんな伊藤氏が物議を醸したのは、5月1日に熊本県水俣市で開かれた水俣病患者団体との懇談会。環境省の職員が、患者側の発言中にマイクの音を切っていた問題が発覚したのだ。

「環境省側の懇談シナリオには〈一団体三分程度でお願いする。長くなるようなら当方でマイクをオフにすることもある〉旨の発言が記されていた。ところが、事前に団体側に説明することなく、マイクを切ってしまったのです」(同前)

 加えて問題視されたのは、伊藤氏が取った行動だ。

「出席者に『私はマイクを切ったことを認識していない』と話し、足早に会場を後にしたのです。これが『大臣として不適切』などの批判を呼び、伊藤氏は8日に水俣市を再訪。患者団体の代表らと面会し、謝罪するに至りました」(同前)

患者団体に謝罪

 果たして、渦中の“マイク切り大臣”とは一体、どんな人物なのか。

 伊藤氏の地盤は宮城県塩竈市などだが、生まれ育ったのは都内の一等地・六本木の豪邸だ。推定価格は約10億円。22年10月に高齢の母が亡くなり、約360平米の土地を姉と2分の1ずつ相続している。

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source : 週刊文春 2024年5月23日号