今月1日、東京23区の住民の生活に密接する、ある「値上げ」が実施されたのをご存じだろうか。火葬料である。誰もがいつかは迎える「死」をめぐり今、異変が起きている。
値上げを行ったのは民間の火葬事業者「東京博善」。1921年に設立され、町屋(荒川区)、桐ヶ谷(品川区)など都内6カ所の斎場を運営し、東京23区内の死者の約70%の火葬を担う。
「4年前まで、東京博善の一般的な火葬料金は59000円でした。それが6月1日からは、90000円と改定されたのです。例えば江戸川区の公営斎場『瑞江葬儀所』では、都民の火葬料は59600円。同じ23区内でも斎場によって30000円以上の差が生じてしまうことになる。加えて、横浜市だと市民の火葬料は一律12000円。東京博善の90000円がいかに高いかが分かります」(経済誌記者)
当然、公営と民営という違いはあるだろう。ただ、東京博善は2021年以降、火葬料の値上げをたびたび行ってきた。通常価格が59000円だったのが、21年に75000円に値上げ。さらに翌年6月からは、燃料調整費に沿ったサーチャージ型の「燃料費特別付加火葬料」を設定し、80000円超に。そして今回、サーチャージ制を廃止し、〈火葬炉の修繕に係る資材および材料費や保守費用の高騰〉等を理由に、90000円まで値上げしたのだ。
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首都圏の民間の火葬事業者が明かす。
「ご遺体1体の火葬にかかる燃料費は約10000円。東京博善さんほどの事業規模ですと、そこに人件費や火葬炉のメンテナンス代なども上乗せしていると思いますが、区民から『なんで東京だけこんなに高いんだ』と言われても仕方ない」
なぜ東京博善は値上げを繰り返すようになったのか。そこには、東京博善の親会社をめぐる“暗闘”が影響している。
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source : 週刊文春 2024年6月13日号