米半導体大手のエヌビディアが8月28日、今年5〜7月期決算を発表した。純利益は前年同期の約2.7倍の165億9900万ドル(約2兆4000億円)となり、四半期として過去最高を更新したものの、
「決算発表後の株価は時間外取引で軟調に推移。値下がり率は一時8%を超えました。その余波を受け、日本の株式市場も取引開始直後は反落。日経平均株価は一時400円以上値を下げました」(大手証券幹部)
売り材料となったのは、8〜10月期の業績見通しだ。同期の売上高予想は前年同期比約79%増の325億ドル。市場予想の約317億ドルは上回ったが、
「総利益率はアナリスト予想を下回り、伸び率も鈍化する内容でした」(同前)
AIブームを牽引してきたエヌビディア。GAFAMに同社とテスラを加えた「マグニフィセント・セブン(荒野の七人)」の中でも突出した株価パフォーマンスで、昨年は3.4倍の上昇を記録した。だが、その神通力にも陰りが見え始めたということなのか。
「喫緊の課題は、既存品に比べ、データ処理能力が約30倍にもなる次世代チップ『ブラックウェル』の供給です。現行のAI半導体『ホッパー』の後継となる新製品ですが、旺盛な需要に供給が追い付けない状態。当初、5〜7月期と見られていた出荷時期が遅れていることが市場の懸念材料となっています」(同前)
それでも、エヌビディアのジェンスン・フアンCEO(61)は、「ブラックウェルのサンプルはすでに世界中に出荷され、量産を開始している。今年11月〜来年1月期には売り上げを生み出す」と、強気の姿勢を崩さない。ブラックウェルが言葉通り収益に貢献してくれば、総利益率も上向き、株価も上昇トレンドを維持すると見られる。
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source : 週刊文春 2024年9月12日号