9月26日、アメリカ南部をハリケーン「ヘリーン」が襲い、すさまじい雨量で地滑りや洪水を起こし、200人以上の死者を出した。これは2005年に1800人以上の死者を出したハリケーン「カトリーナ」以来、最大の被害だ。

 世界の台風の被害は近年、悪化する一方だ。原因はもちろん海面の温度の上昇、つまり地球温暖化。だが、CO2規制に反対する共和党は批判の矛先をそらそうと必死だ。ましてや大統領選の投票日まであと40日。ドナルド・トランプはこんな主張を始めた。

「ハリケーンの被害が大きかったのはFEMA(連邦緊急事態管理局)の予算不足が原因だ。被害が大きい州は共和党支持者が多い。だからバイデン政権はFEMAの予算10億ドルをハイチからの不法移民の支援に回したのだ」

 もちろんそんな事実はない。実はFEMAの予算を削ったのはトランプ自身だ。彼が大統領だった2019年、FEMAの予算1億5000万ドルを移民対策予算に移している。トランプは地球温暖化抑制を目標とするパリ協定からも離脱している。

 温暖化は山火事も増加させている。近年、カリフォルニア州で大規模な山火事が広がったが、トランプはカリフォルニア州の州知事ギャビン・ニューサム(民主党)が自分に敵対的だからと「FEMAにカリフォルニアをこれ以上支援しないよう」命じた。つまり自分が嫌がらせをしたから、バイデンもしていると決めつけたわけだ。

 そのカリフォルニアの山火事について「ユダヤ系の世界資本が人工衛星からのレーザー光線で火をつけたんです」とトンデモない陰謀論を展開したのが、トランプ信者の共和党下院議員マージョリー・テイラー・グリーン。彼女は10月3日、ハリケーン「ヘリーン」について、またしても陰謀論をXに投稿した。

「彼ら(バイデン政府)は気候をコントロールできるんですよ。できないなんて信じるのはバカげてます」

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source : 週刊文春 2024年10月24日号