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文禄堂荻窪店は電気自動車の夢を見るか

2016/02/13

genre : エンタメ, 読書

note

 先日、小石川店を取材したばかりの、あゆみBOOKSが新しい試みをしていると聞いて、あゆみBOOKS荻窪店をリニューアルオープンしたばかりの文禄堂荻窪店にうかがった。文禄堂という名は、あゆみBOOKSの創業者がかつて日本橋で営んでいた「書肆(しょし=本屋さんですね)文禄堂」に由来し、小説や川柳をたしなんだマルチタレント的な創業者になぞらえて、書籍プラスアルファを提供する、出版取次(=本の卸売り業ですね)の日本出版販売があゆみBOOKSチェーンと提携して仕掛けた新ブランドだ。

 正直なところ、実際に店を見てお話をうかがうまでは、せっかくの愛すべき本屋さんが(あゆみBOOKS荻窪店は、小さいけれど地元のお客様で賑わう、いい本屋さんでした)、なにか敷居の高いセレクトショップになったら残念だなと思っていた。

文禄堂荻窪店。
広い間口と店頭に置かれた電動三輪自動車が目をひく。

 間口が広く、開放的な店構えに、店頭に置かれた電動三輪自動車がアクセントになっている。昭和世代の自分にとっては、『三丁目の夕日』的な懐かしさをおぼえるオート三輪だが、最新技術を取り入れた電気自動車で、荷台が書棚になっている。道路からも目を引き、振り返る人、思わず立ち止まって見る人も多い。店舗スペースは旧店舗とほぼ同じだが、店長の佐々木祐介さんによると、リニューアルして常連のお客様からは、「広くなったよね」と声をかけられるという。棚と内装を一新し、見通しがよく、黒い梁と白い天井のコントラストで、締まって見える。

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内装一新、広く感じる店内。

 雑貨コーナーは、店内の一角にテントを設け、ランプを灯して雰囲気を出している。ペンやノートといった定番モノと、期間限定でテーマを設定したセレクト雑貨が半々。モレスキンのノートや、ビブリオフィリックの読書グッズは、書店アイテムとしては定番になりつつあるが、好感が持てる。約60坪の店内に4坪の雑貨コーナーは、最近のいわゆる複合型書店に比べると決して広くない。

雑貨コーナーは、テントのようなしつらえ。