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「母親はずっと子どもと一緒にいるのが幸せ、それで満足すべき」という社会への疑問

「産後ケアをすべての家族に」マドレボニータ創業者・吉岡マコインタビュー#1

2019/01/09

 GoogleインパクトチャレンジWomen Will賞を受賞し、現在、全国52カ所で 産後の女性向けエクササイズを提供する認定NPO法人マドレボニータ。順風満帆に成長を続けてきたマドレボニータだが、創業者の吉岡マコさん(46)には壮絶な背景があった。

マドレボニータ創業者・吉岡マコさん

 東大卒業後、25歳で外国人のパートナーとの間に授かった息子を出産。その後、運動生理学を学んでいた東京大学大学院を中退し、無職のシングルマザーとなった。出産で消耗した自分自身の体を「実験台」にしながら、独りで産後向けリハビリプログラムを開発し、アルバイトの合間を縫って産後ケア教室を立ち上げていったのだ。吉岡さんに、産後の女性たちが直面する「問題」を聞いた。

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ホリエモン、経沢香保子さんら「起業ブーム」の中で創業

――吉岡さんが最初の教室を立ち上げた1998年頃は、ちょうど世の中に「起業」というブームが起こり始めた頃でもありますね。ホリエモンが出てきたり、女性の起業家なら経沢香保子さんや、時代を変えていく人たちが立ち上がり始め、今につながるカルチャーが生まれた時代でもあります。

吉岡 当時の私はバイトしながら週に一度、教室を開いているという状態だったので、「起業」という言葉は使わなかったですけどね。糸井重里さんのほぼ日刊イトイ新聞が始まったのが98年。それから20年ぐらい経った今、SNSやソーシャルメディアを使って市民と簡単につながれるようになって様々な形で集客できたり、何かを始めることのハードルがすごく下がったんですよね。

 

病気ではない産後に「リハビリ」が必要な理由

――元々、運動生理学を専攻されていたことが、産後ケアプログラムの開発につながったのですか?

吉岡 新生児は可愛いですが、抱っこするのも難しくてお世話が大変です。そして、出産でボロボロに消耗している、あまりにもツラい身体。産後ひと月は休養がとても大事ですが、その後には体力や心肺機能、筋肉を取り戻すための産後特有のリハビリが必要なはずと実感しました。そこで今までの知識を総動員して、自分の体を実験台にしながらプログラムを一つ一つ考えていきました。バランスボールはいい有酸素運動にもなりますし、股関節脱臼したスポーツ選手がリハビリに使うと聞いていたので、産後のグラグラした違和感のある股関節のリハビリに使えると思って開発していきました。