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「頭の片隅にもない」は本当か?「衆参同日選」の状況証拠は“あの新聞”に

2019/01/11
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読売がさらりと告げた「G20」6月開催の舞台裏

 読売新聞の1月4日の記事。「亥年参院選へ 外交に全力 日露次第『衆参同日』論も」

《安倍首相は外交を中心に成果を重ね、統一地方選と重なる12年ぶりの「亥年選挙」を乗り切る戦略を描く。》

12年前、職員から贈られた花束を手に首相官邸を去る安倍首相 ©共同通信社

 やはり読売を熟読するといいことがある。「12年ぶりの『亥年選挙』を乗り切る戦略を描く」と安倍首相の胸の内を教えてくれる。

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 読売は首相が今年前半に最優先課題に据えるのは日露外交だ、と書く。

《1月21日にモスクワでプーチン大統領と首脳会談に臨み、日露平和条約交渉を進展させたい考えだ。6月に日本で初めて開かれる大阪での主要20か国・地域(G20)首脳会議に合わせて来日するプーチン氏との間で、北方領土の問題解決に向けた大筋合意を目指す。》

 そういえば今年はG20が日本で開催される。

 この記事の読みどころは次だ。声を出して読んでほしい。

《G20は、先進7か国(G7)の主要国首脳会議(サミット)の後に開かれるのが慣例だ。日本政府は今年のG7議長国のフランスと交渉し、8月に予定されるG7サミットより早い6月のG20開催にこぎ着けた。首相官邸筋は「全ては参院選を前に見せ場を作るためだ」と明かす。》

 え!?

 参院選の前に「見せ場を作るため」、G20の日程をフランスにお願いして変更してもらった!?

 首相が熟読しろという読売が書いているのだから間違いない。「首相官邸筋」の言葉が載っている。

 国際的なG20を、参院選対策のために日程変更してもらったのだ。「6月のG20開催にこぎ着けた」と普通に書いているが、かなりギョッとする事実ではないか。

《ロシアとの北方領土問題の行方次第では参院選に合わせた「衆参同日選」の可能性も取り沙汰されそうだ。》

©文藝春秋

 つまり、衆参同日選挙もプーチン次第ということになる。

 だからこそ首相は現時点では「頭の片隅にもない」のだろう。どうしても同日選の可能性について知りたい記者は安倍首相ではなくプーチンに聞くのが正しい。