「頭の片隅にもない」

 年頭会見で、今夏の参院選に合わせた衆院解散・総選挙を問われた際の安倍首相の言葉だ。いわゆる衆参同日選挙の可能性について。

 首相が「ない」と言ってるのだから「ない」のである。

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 しかしここで思い出したい。「あった」ものが「なかった」り、「なかった」ものが後から「あった」と言われることが多かった昨年のことを。

 そう考えると首相が「ない」と言ってるのだから「ある」可能性も高い。そんな気もしてきた。

1月4日、年頭の記者会見をする安倍晋三首相 ©時事通信社

 では、推理小説を読むつもりで年明けの新聞各紙を読んでみよう。ヒントがあるかもしれない。

安倍首相にとっては“12年前の雪辱”

 まず多いのは「亥年の選挙」についての解説だ。

 今年は春の統一地方選と夏の参院選が重なる12年に一度の「亥年」。

《自民、公明両党には不利な条件が重なる。多くの地方議員を抱える両党は、統一選で組織がフル回転。間を置かずに行われる亥年の参院選では「選挙疲れ」から苦戦を強いられてきた。》(毎日新聞1月5日)

《安倍首相にとっても第1次政権を担っていた12年前、統一選で野党民主党の躍進を許し、参院選で惨敗、その後の退陣に追い込まれた記憶は鮮明だ。先月18日の自民党役員会で「あれから政局が不安定になった」と12年前の亥年選挙を振り返り、選挙態勢に万全を期すよう求めた。》(朝日新聞1月5日)

2007年9月、総理大臣辞任会見 ©文藝春秋

 つまり今年の「亥年選挙」は安倍首相にとって12年前の雪辱であることがわかる。今年は勝ちたい。チャンスがあれば衆参同日選挙も?

 しかし同日選は「頭の片隅にもない」と言っているではないか。状況証拠はあるのか?

 ……あったのである。