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情報弱者の貧困層をバカにする人、搾取する人

オンラインサロン界隈を眺めていて思うこと

2019/02/05

本当に血が通った人間なのか、お前は

 先日、実際に「今後はブログが稼げるぞ! 会社や大学を辞めてブログ収益で生きていけ!」というインフルエンサーの言葉を信じた女子大学生が「現在ブログ収益0円ですが、これからブログで食べていくと決めたので大学を辞めてブログに専念することにしました!」と宣言していたのを目の当たりにしました。

 彼女の決断に対しては、私が口出しをする気は毛頭ありません。自分の人生ですから、よく考えた結果なら、他人がどうこう言う問題ではないでしょうし。しかし、まだ世間の右も左も分からないような若者に対して、大学を中退するよう促した挙句、そのリスクについての説明もまったくせず、それを信じた人たちが失敗したときにケアもせず見捨てるような大人のことは、絶対に許してはいけないと思うんですよ。「おっw いいですね! やれやれー!」じゃないんだよ。本当に血が通った人間なのか、お前は。

 結局この人たちは、すべて自分の利益になるからやっているだけのことなんですよ。そこに、誰かを救いたいだとか、困っている若者に手を差し伸べたいだとか、そういう親切心は1ミリもないと思うんです。本当に親切な人は、弱っている人や判断能力が低下している人の弱みに付け込むような真似はしませんから。一種の洗脳だと思いますよ、本当に。

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「もう考えるのも疲れた。死にたい」

 この原稿を書いている私自身も貧しい家庭で育ったのですが、母はいつもお金に困って精神的に追い込まれていました。母は96歳のオーナーが経営する理容室で17年勤めていますが、職場環境もかなり劣悪で、出勤しているにも関わらず給与をもらえない日がけっこうな頻度である状況です。週5でフルタイムで働いても月に数万円しか稼げませんし、誰がどう考えても転職した方がいい状態なので娘の私から何度も転職を薦めたのですが、「もう考えるのも疲れた。死にたい」「転職先を調べたり、新しい環境に慣れるまでが億劫だ」「転職するだけの気力がない」と言い続け、しまいには発言力のある人から「儲かるよ!」と勧誘され、マルチ商法に手を出した時期もありました。

 母はもともとは思慮深く利発な女性だったのですが、仕事を頻繁に辞めてしまう夫と家庭内暴力で金銭をせびる息子に悩まされ、お金に困るようになってから次第に人が変わったようになりました。精神を病み、いつもぼーっとしていて、はたから見ていても判断力が著しく低下している、思考力が働いていないような状態になってしまいました。現在も、母は新しい職に就くことができていません。

 これから先、誰かに対して「馬鹿だなぁ、どうしてそんな失敗をしたんだ」と思うことって多分あると思うんですが、そんなとき、無条件にその人を攻撃するのではなく、一度この話を思い出してもらえれば幸いです。その背景にあるものは、一体何だと思いますか。