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江東区のマンションポエムが「東京を代表しがち」問題

マンションポエム界の「サードウェーブ」がやってきた

2019/03/04
note

豊洲には「東京にずっと暮らしていたい無数の理由がある」

 さて、江東区のマンションポエムに特徴的なのは「東京を代表しがち」という点である。

【東京の未来を体現する都市がこの地で、なおも進化を続ける。】
(住友不動産「シティタワーズ東京ベイ」ウェブサイトより)

【大きな飛躍を見せる東京の象徴がここに誕生する。】
(住友不動産「シティタワーズ東京ベイ」ウェブサイトより)

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【伝統と先進が融合する東京の核心へ。】
(野村不動産「プラウド門前仲町ディアージュ」ウェブサイトより)

【四季を通じて東京を代弁する情景がある。】
(野村不動産「プラウド門前仲町ディアージュ」ウェブサイトより)

【この街には、東京にずっと暮らしていたい無数の理由がある。】
(三井不動産レジデンシャル「パークホームズ豊洲ザ レジデンス」ウェブサイトより)

 ご覧のように、「東京を体現」「東京の象徴」「東京の核心」など、「江東区こそ東京である」との自負がすごい。なぜここまで自信が持てるのか。

 特に下の「No 江東区、No 東京」っぷりには舌を巻いた。

(三井不動産レジデンシャル「パークホームズ豊洲ザ レジデンス」ウェブサイトより)
(野村不動産「プラウドタワー木場公園」ウェブサイトより)

 ほかにも「これからの暮らし、夢もある。希望もある。でも、それを適えてくれる都心がどれほどあるだろう」と、江東区のこの場所こそが都内のほかの街では得難い夢と希望をかなえてくれる「都心」であると謳っているものもあった。あっぱれ。

ローカル感あふれる東京を

 このようにまことに威勢のいい東京アピールだが、さらに読み込んでいくとそこで表現されている東京像にある特徴があることに気がつく。きらびやかな都会、アルファベットで “TOKYO”と表記されるようなものではなく、ローカル感あふれる内容なのだ。それが最も端的に表れているのが「地元の飲食店紹介」だ。

【TRADITION 時を超えて愛され、受け継がれる味に舌鼓】
【大正6年創業 下町の蕎麦屋の風情が残る伝統の店】
【地元からも愛されている 深川名物の老舗店】
(以上、コスモイニシア/近鉄不動産「イニシア門前仲町ローレルコート」ウェブサイトより)

 ご覧のように、マンション広告で紹介される店は、老舗であり、いい感じのリノベーションが行われたショップである。このような地元飲食店を紹介する理由は、その街の魅力を象徴する存在だからだ。それにかなう店が選別されている。単に腹を満たせる利便性アピールではないので、チェーン店が紹介されることはない。

©iStock.com

 これら飲食店紹介の中でも特徴的なのはカフェだ。特に清澄白河周辺はサードウェーブ コーヒーと呼ばれるこだわりのコーヒーショップ群で知られるようになって久しい。当然マンションポエムにもカフェモチーフが登場する。