文春オンライン

江東区のマンションポエムが「東京を代表しがち」問題

マンションポエム界の「サードウェーブ」がやってきた

2019/03/04
note

物件の特徴をブレンドに、居心地をカフェに喩えている

【VARIETY CAFÉ 情緒あふれるアートの街の散策とともに、焙煎したての味わいを楽しむ】
(コスモスイニシア/近鉄不動産「イニシア門前仲町ローレルコート」ウェブサイトより)

【元倉庫をリノベーションした広々とした空間の中央には、巨大な焙煎機】
(阪急不動産「ジオ深川住吉」ウェブサイトより)

【豆のチョイスはキャラクターが被らないように】
【アフリカのバオバブのようにしっかりと根を張って、たくさんのお客様がゆったりまったりくつろげる大樹になりたい】
(以上、野村不動産「プラウド清澄白河リバーサイド」ウェブサイトより)

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 ここまでカフェにまつわる描写が充実したマンションがいくつも建つエリアはいままでなかった。それにしても、件のプラントハンターといい、バオバブはいつからこういう感じの植物になったのか。

 で、ぼくが今回唸ったのは、マンションポエムそのものがカフェをモチーフにしている物件だ。

(コスモスイニシア/近鉄不動産「イニシア門前仲町ローレルコート」ウェブサイトより)
(コスモスイニシア/近鉄不動産「イニシア門前仲町ローレルコート」ウェブサイトより)

 物件の特徴をブレンドに、居心地をカフェに喩えている。

「ホテルライクな空間美」などというように、マンションをホテルに喩えるポエムはこれまでいくつか見てきたが、これからはカフェだ。マンションポエム界のサードウェーブである。

©iStock.com

 それにしても、最もくつろげるはずの自宅をカフェの居心地に喩えるというのもよく考えると妙な話だ。そういえば青山のマンションポエムでは、入居があたかも客として迎えられるかのように謳われていた。カフェや客に喩えられる生活。もしかしたら、いまやマンションとは「ホーム」ではなく、別の何かなのかもしれない。(初出「アットホーム」ウェブサイト)

立体交差/ジャンクション

大山 顕

本の雑誌社

2019年2月14日 発売

江東区のマンションポエムが「東京を代表しがち」問題

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