新橋の立ち飲み屋さんでは、「新年号が何になるか」がよく話題にのぼっている。「文春元年てことはないよね……」と重鎮の常連が切り出したので吹き出しそうになってしまった。

 2019年は元号が変わる。立ち食いそば屋でも新旧の交代がある。神田三崎町の立ち食いそばの名店「とんがらし」でも後継者が決まったという知らせを聞いた。今のご夫婦が引退される前に、東京都はご夫婦を功労表彰してもいいのではと思う。都知事よろしくお願いします。

 そんな2019年、立ち食いそば、大衆そば屋でも、人気となりそうなメニューが散見されている。文春オンラインで掲載されたお店の中から2つ紹介しよう。

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(1)SOBA STAND そばうさの「スタミナ牛スジ冷そば」

 麹町にある「そばうさ」に1月最後の週の火曜日の夕方、久しぶりに訪問した。店主の小島さんは笑顔で迎えてくれた。「そばうさ」は港屋(2/4閉店の情報)などの新旗手系の人気店として2016年に新星のように現れた。

「バジル冷そば」(850円)はマスコミにもずいぶん取り上げられている。いつものように「バジル冷そば」の食券を買おうとすると、小島さんが「今の1番人気はこっちなんですよ」と「スタミナ牛すじ冷そば」(900円)を指さしたのだ。さっそく食べてみることにした。

「そばうさ」は半蔵門駅に近い麹町にひっそりと営業している
「スタミナ牛スジ冷そば」が一番人気

 待つこと3分ほど、番号を呼ばれるので取りに行った。そのどんぶりの姿に圧倒された。

 どっさりの海苔、牛スジが海苔の下にゴロゴロ隠れている。玉子を割ってそばに載せる。

 スタミナとは煮込んだひき肉のこと。冷そばはつゆも麺も冷たいタイプ。温そばはつゆがあたたかく麺は冷たいタイプ。牛スジは柔らかく、「牛スジごはん」(250円)も人気だという。牛スジの作り方を聞いて驚いた。まず下茹でを3回、その都度余分な脂などを捨てていく。最後に圧力鍋を使って柔らかさを出す。だいたい4時間くらいかかるという。

 さっそくごわっとした麺を箸でつかみ、牛スジと一緒につゆにつけて食べてみる。牛すじはあっさりと臭みがなく柔らかい。つゆは以前よりパンチ度が増したようにも思う。出汁も返しもしっかりと主張している。人気になるのも頷ける。

 2番人気の「バジル冷そば」も捨てがたいし、次は何にするか食べながら悩んでしまった。

「スタミナ牛スジ冷そば」はどっさり海苔と牛すじと玉子とパンチあるつゆ
ごわっとした麺を牛スジといただく