文春オンライン

連載テレビ健康診断

レッツ・シンク。私たちも自力で考えよう 『3年A組』――亀和田武「テレビ健康診断」

『3年A組 今から皆さんは、人質です』(日本テレビ系)

2019/03/17
note

果たして謎は解かれるのか?

 謎また謎。ジェットコースターのような展開に一喜一憂してばかりはいられない。レッツ・シンク。私たちも自力で考えよう。

 柊が立てこもった教室には爆薬が仕掛けられているから、警察も強行突入はできない。教室は外界と隔絶されている。しかし抜け道はある。ピンポーン。SNSで教室と社会はつながっている。柊は生徒たちのスマホを回収したかと思うとまた返却し、外界との通信を許す。ネットを最大限に利用して、柊は世論を誘導していくのだ。

ADVERTISEMENT

 半世紀前に自衛隊に立てこもった小説家をふと連想した。あのときネットがあったなら、彼は監禁した総監との一問一答も全部拡散させ、世論を一気に味方につけたかもしれないと。

 渋い存在感で、学外で捜査に当たる郡司刑事(椎名桔平)が、ついに最終回を前にして学内で格闘する。このとき突如として特撮ヒーローが現れて柊を救う。おお、NHKではおりしも特撮オタク女子の生態を描いた『トクサツガガガ』が大評判になっていた。柊は実は、病気でスーツアクターを断念した過去がある。

 最終話。謎は謎で回収しなくてよい。景山殺しの犯人を特定できなくても仕方ない。柊の決起を促した最大の動機は何か。それがチラリ判ればよしとしたい。

INFORMATION

『3年A組 今から皆さんは、人質です』
日本テレビ系 日 22:30~23:25
https://www.ntv.co.jp/3A10/

レッツ・シンク。私たちも自力で考えよう 『3年A組』――亀和田武「テレビ健康診断」

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春をフォロー