今季のドラマでは、画面から伝わる熱量とクオリティで、『3年A組 今から皆さんは、人質です』が、ブッチギリの首位だ。

 卒業式を間近に控えた高校で、担任教師の柊一颯(ひいらぎいぶき/菅田将暉〈すだまさき〉)が爆薬を用い、二十九人の生徒全員を人質にして教室に立てこもる。ブッキーの仇名で呼ばれる物静かな美術教師は何が目的で、ド派手な劇場型犯罪を決行したのか。

担任教師役を演じた菅田将暉 ©AFLO

 このクラスでは、半年前に女生徒が自殺している。水泳の全国大会でも優勝した景山澪奈(上白石萌歌〈もか〉)だ。五輪候補だった校内一のヒロインが、なぜ自ら命を絶ったのか。柊は死の真相を暴くために決起した。

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 誰が景山澪奈を殺したのか。この謎を軸にドラマは猛スピードで動きだす。澪奈の死に加担した生徒や校外の大人が次々と糾弾されるが、所詮は小悪党だ。

 柊は難病に蝕まれ、余命宣告も受けている。残り少ない時間内に、澪奈を死に追いやった真犯人に辿りつくための立てこもりだ。

 情けない生徒たちの襟首を掴んで、柊は怒鳴りつける。「弱い者の気持ちを、なぜ想像しようとしないのか。どうして自分の頭で考えないのか!」

 体育館では校長を始め、柊の同僚教師たちが待機している。その中でも一番ペラいのが、テレビにもカリスマ教師として出演する武智大和(田辺誠一)だ。柊は武智が澪奈を殺した犯人だとネット上で告発する。武智は名声を失うが、彼の上にまだ指示役がいる。