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朝ドラ『まんぷく』で「萬平さん」連呼の安藤サクラにモヤモヤする

“わたし”が主語になる福子を見てみたい

2019/02/13

 こんなはずじゃない、こんなはずじゃなかった……。そんな幾多のつぶやきが目の前の箱や板から聞こえてきます。私たちは青空のようにスコーンと抜けるあのドリカムの主題歌にいつしか絡め取られていたのかもしれません。

 日本で初めてインスタントラーメンを発明し商品化した安藤百福・仁子夫妻がモデルのNHK朝ドラ『まんぷく』。福子役の安藤サクラ、萬平役の長谷川博己ほか、手練れの俳優陣が熱演を繰り広げて視聴率も連日20%超え。今、日本でもっとも視聴されているドラマと言って間違いないでしょう。

“主演”の安藤サクラ ©文藝春秋

私には“信者”としか思えない

 思えば泉大津までは楽しかった。幻灯機をきっかけに恋に落ちるふたり、萬平の逮捕、結婚、疎開、塩軍団、福子の妊娠、萬平の逮捕、ダネイホン、萬平の逮捕、菅田将暉。前作のように師匠の原稿を窓から投げ捨てると脅す主人公も、家族は邪魔だと涙で語る夫も出てこない朝ドラは視聴者に笑顔と心の平安とを与えてくれました……そのはずでした。

 雲行きが怪しくなったのは、萬平が池田信用組合の理事長職を辞し、「世の中の人の役に立ちたい」とお決まりのセリフを吐いて即席ラーメンの開発に着手し始めた頃。家事もせず、節約のためにと作った畑を勝手に潰して小屋を建て、そこに一日中こもってラーメンだけと向き合う日々。ねえ萬平さん、奥さんと子どものことも見てあげて。兄妹は学校で「ラーメン」「小ラーメン」っていじめられてるし、福子はあなたの前で泣けなくて、そっと友だちに涙を見せているんだよ。

©iStock.com

 すでに100話を過ぎた今、こんなことを確認するのもアレですが、このドラマの主人公って福子ですよね、萬平ではなく。なのに、萬平が無職になってから福子の口から出るのは「私は萬平さんを信じてます」、「萬平さんは一流の発明家です」、「萬平さんはものづくりの人ですから」。そんな萬平マターの言葉ばかり。福ちゃん、コレって“妻”なのかなあ……。私には“信者”としか思えないんだけど。