文春オンライン

4月が来ると思い出す、一生懸命に生きた木村拓也の物語

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/04/11
note

平成最後の4月7日

 あれから9年。今年も4月7日がやって来て、俺は毎年恒例のツイートをした。日ハム時代、カープ時代、巨人時代の拓也の写真とともに「今日、彼が所属したチームが素晴らしい試合をしてくれますように」と。しかし、なんという皮肉か、拓也が所属したその3チームは揃いも揃って敗北した。しかし、想像外の場所で奇跡が起きる。オリックスと楽天の試合。9回裏の守備で同点に追いついた楽天がキャッチャー不在となり、一軍でのキャッチャー経験が無かった銀次がマスクをかぶったのだ。試合は引き分けに終わったが、4月7日、木村拓也の命日に、あの2009年9月4日と酷似した光景が。俺はその姿を見て拓也を思い出し、涙が止まらなかった。でも、感傷的になるだけじゃなく、やはり野球の神様はいる。ただ、気まぐれなんだ。そう思った。今年の4月7日に関して言えば、きっと日ハム、カープ、巨人に活を入れたのだろう。同時に、すべての野球ファンに「木村拓也という選手をもう一度、思い出してほしい」と願い、所属球団ではないオリックスと楽天の試合で粋な計らいをしてくれたのだろう。

 そうだ。そう言えば、6年前の4月7日。カープがリードした直後、突如として広島の空に「虹」が現れたことがあったじゃないか。しかもその日は、拓也が在籍した日ハム、カープ、巨人。全チームが勝利しただけに留まらず「拓也が在籍したチーム順」に試合が終了した。それを予感させるような虹と勝利チームの順番。じつに素晴らしい日だった。

2013年の命日。カープの勝利を天国から教えてくれているような虹が出現 ©ガル憎

 拓也とそう遠くないところにいるであろう野球の神様。いつも様々な形で彼を思い出させてくれて、本当にありがとうございます。あなたが気まぐれだからこそ、都合よく実現するものじゃないからこそ「奇跡」や「ドラマ」になる。だから野球は楽しくて感動的なんですね。拓也の座右の銘である「一生懸命」。あなたがその言葉に一片の曇りもないことを知ってくれているようで、本当に嬉しいです。本当にありがとうございます。

ADVERTISEMENT

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2019」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/11220 でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

4月が来ると思い出す、一生懸命に生きた木村拓也の物語

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー
文春野球学校開講!

文春野球コラム

広島東洋カープの記事一覧