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テレ東が放つ劇薬『ハイパーハードボイルドグルメリポート』はこうして誕生した

テレビ東京『ハイパーハードボイルドグルメリポート』上出遼平Pインタビュー #2

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ディレクターデビュー作での「ドラゴンフルーツ事件」

――『世界ナゼそこに?日本人』でも『ハイパー~』でも世界中でいろんなものを食べていると思うんですけど、これまでお腹を壊したことは?

上出 ほとんどない。でもロケから日本に帰った瞬間に壊すというのが僕のベタなパターンですね。

――お腹強いのか、弱いのか……。

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上出 緊張がほぐれるとお腹が弛むのかなと。でも今まで2カ国だけ耐え難くお腹を壊したことがあって。インドとインドネシアでした。温度と湿度が高いからでしょうか。インドでは、おばちゃんにもらったドラゴンフルーツみたいなのを食べたんですけど、切ったナイフをその辺で洗っているのが見えて、嫌な予感がして。

 

「トイレ行きたい」と思ったら、普通はカウント1分ぐらいじゃないですか。でもカウント5秒とかでくるんで、基本的にロケにならないんですよね。そのとき僕のディレクターデビュー作だったんですけど(苦笑)。

――それは?

上出 それも『世界ナゼそこに?日本人』です。『ハイパー~』でロシアのカルト教団を取り上げた回がありましたけど、インドでもオーロヴィルっていう一見カルトっぽいコミュニティーがあって、そのロケでした。そこに日本人が1人住んでいたんです。

「日本人1人で取材に行きたい」AD経験を存分に生かした海外ロケ取材

――海外ロケでは現地のガイドさんとのつながりが大事ですよね。『ハイパー~』でも『世界ナゼそこに?日本人』のときの経験がいきている?

上出 すごく大事ですよね。基本的にゴールデンの番組って、まず日本のコーディネーターが居て、カメラマン、アシスタントとかを連れてその国に行く。さらに現地ガイド、現地ドライバーにも参加してもらってロケをする場合が多いんです。

 

 だけど『ハイパー~』では、僕は日本人1人で取材に行きたい。だからカメラマンもアシスタントもなし。まあ予算も少ないですし、カメラも僕が自らまわします。極端な話、現地の街並みを分かっているガイドだけ居てくれればいい。「こういうところに行きたい」って言った時に「じゃあ、あそこだな」って連れていってくれれば。だから実際、『ハイパー~』では現地ガイドと2人組か、どうしても運転は別でドライバーが必要だと言われた場合だけ3人体制ですね。

――基本は2人組なんですね。

上出 だから『世界ナゼそこに?日本人』という番組をやっていた時に、いざこういう番組が作れるぞというときに備えて、現地で出会うガイドと連絡先の交換とか、Facebookを聞いてみたりしてました。今でもその時に出会った信頼できる現地ガイドさんと組むことが多いです。