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面白政党「れいわ新選組」「N国党」が拓いた、日本政治絶望組を誘う未来

真面目な有権者は「もっとまじめにやれ」と顔真っ赤にしてると思いますが

2019/08/01
note

N国党的なマインドを持つ有権者が何%かいておかしくない

 最終的に、なんだかんだ大騒ぎした結果として、N国党は党首である立花孝志さんが比例代表で1議席を取って、国会の赤絨毯を踏むことになってしまいました。大変なことだと思うよ。「政治はもっとまじめにやれ」と思っている真面目な有権者は顔真っ赤にして怒ってる事態だと思います。こんなやつが、なぜ政治家に、と。NHKに勤めている友人に「N国党が一議席取りましたが、ねえいまどんな気持ち?」ってFacebookで気軽にメッセージを送ったら、既読スルーされました。まあ、気持ちは分かる。

 でも実際には政治ってものは数の論理であり、有権者に平等に与えられた権利(1票の格差が放置されているのは良くないと思うけど)を行使した結果として議席が配分される仕組みである以上、我が国の国民においてもN国党的なマインドを持つ有権者が何%かいておかしくないということだと思うんですよ。

 読者の皆さんの身の回りにも、政治に興味のない頭のおかしい人たちって一定の割合でいるでしょ。そういう人たちが、自分たちの真の代表を国会に送り込んだ、と考えれば理解できると思います、このヤバさが。国民の既存政党に対する失望感が、日本社会にたゆたうN国党感という情念をもたらした。

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 そして、いままでそういうN国党感を抱く国民が、面白おかしく投票する先がなかった。意志を表示する先と言えば、自民党は嫌いだ、従来型の野党に票を投じるのもだるいと思っている以上は、棄権するか泡沫候補に面白半分で投票する以外なかったんでしょう。しかし、いまやN国党がある。そりゃ泡沫候補の総合商社みたいな政党ができたら、既存政党に興味のない有権者は面白半分に票を投じますよね。

面白議員の駆け込み寺

©iStock.com

 さらに、1議席確保したという単なる泡沫政党の面白半分で終わらず、さらにN国党としてスキャンダル議員をかき集め政党になろうと頑張って行動しているわけであります。その中心に立花孝志さんがいて、ロシアと戦争したい丸山穂高さんがいて、「忍者」渡辺喜美さんがいる。次々と点と点が繋がり、太い線となり、泡沫界期待の新星、N国党が無党派の失望を胸いっぱいに吸い込んで成長しているのです。 既存政党を追われたスキャンダラスで危ない議員のみんな、どんどん集まれ! 

 まさに政界のゴミ箱のようでありながら、既存の政党では収まらない面白議員の駆け込み寺として、泡沫なりに数の論理を追求し、なりふり構わず政党になってしまえばまた次の選挙でもお金の続く限り泡沫候補を津々浦々に立て、愉快な政見放送をたくさん流し、NHK幹部や職員を顔真っ赤にさせながら中指を立てて浮動票をかき集めるわけです。

N国党、「政党」へ着々勢力拡大 「政治は数」なりふり構わず
https://www.sankei.com/politics/news/190729/plt1907290035-n1.html

 この泡沫出馬のシステム化を果たしたという一点で、開かれた日本の民主主義の形態を力強く示していると思うんですよ。どんな奴が政治参加してもいいのは民主主義の基本だからねしょうがないね。