結論を言うと、山本太郎さんのような政治家が日本にいていいと思うんですよ。
もちろん、政治信条は私と違うし、少なくとも福島県民を不当に貶めるような東京電力・第一原発事故に絡んだ中傷は許容しがたい面はありますよ。でもそれが、単なる日本の左翼・革新勢力の劣化と見るのは望ましくないし、山本太郎さんの主義主張を一つずつ見ると山本太郎さんらしいオリジナリティがあり、必ずしも教科書的なリベラルの物言いともまた違うわけです。
とにかく反自民の人たちが興味を持ちそうなフレーズ
前々回の参院選(2013年)では、東京にある5つの議席のうち、山本太郎さんが66万票とって堂々4位で議席を確保しました。その後、すったもんだあって小沢一郎さんと合流して「生活の党と山本太郎となかまたち」とかおそろしくやっちまった感の強い名前の政党を作ったもののパッとせず、野党全体の合流と非自民票・政権批判票の受け皿を作るために小沢さんが野党再編に打って出ると、山本太郎さんもこの流れを見限って、また、さらに上を目指して、山本太郎政党が政党要件を満たす5議席をも狙える勢力にしていこうと乾坤一擲の博打を打つ。
凄いですよね、動きが。これら一連の流れるような動きの果てに、これといって何か成果を挙げたわけでもないのが山本太郎さんであり、そのままじゃいけないということで、根性見せて凄いことをやろうとしているのが山本太郎さんではあるわけです。
政策面でも、いわゆる現状否定、安倍晋三政権を痛烈に批判する内容の公約をアピールし、現実性が疑われるという批判にかまわず、とにかく反自民の人たちが興味を持ちそうなフレーズを精一杯並べてマーケティングしています。必死なんだと思いますね。だからこそ、山本太郎さんは面白い。うっかり本当に政権をとっても一個も実現できなそうな内容ではあるけど、現状に不満を持つ有権者が「でも、山本太郎なら何かやってくれそうだ」「面白そうだから応援してみようか」と思えるようなキーワードはしっかりくっつけているので、面白いとは思うんですよ。
「お前ら丸川珠代のどこがいいと思ってるの?」
ちょうど近所の大学や企業研修で若い人たちと話す時間がたくさんあったので、興味を持ってアンケートをしてみたんですが、ざっくり20代合計440人で山本太郎さんを知っている人は38.5%、今回の投票で山本太郎さんに投票しようと思っている人は9人でした。期日前なので、まあそんなもんかなと思います。
もちろんサンプルに代表性は欠けるので、あくまで興味本位のアンケートに過ぎなかったのですが、自民丸川さんに投票するつもりだと回答した人47人に「お前ら丸川珠代のどこがいいと思ってるの?」と訊いたら、ほぼ全員が丸川さんはどうでもよいらしく、安倍ちゃん政権や自民党支持を理由に手を挙げていました。でもこの「自民党だから投票している」のであれば、それこそへのへのもへじが書かれたカカシでもうちの猫ちゃんでも被選挙権があればそれでいいわけで、一定の割合でやってくる自民党が逆風に晒される時期は本人の魅力じゃない分だけみんな落選するよなあと思います。
それでも、まだ丸山珠代さんは救われている方なんですよね。もう一人、自民党から出ている武見敬三さんにいたっては「むしろ武見さんじゃないほうがいい」「武見さんは嫌いだけど、丸川さんは自分が投票しなくても勝手に通ると思うので」と医学部生にあるまじき返答をしていました。まあ医学部生が武見敬三さんをリスペクトしていたら知性を疑われても仕方のない局面ですから、アンケートのラップアップで「武見さんが好きです」と言ったら、翌週から授業で馬鹿にされる覚悟が必要なのかもしれません。