「笑いは人間関係の潤滑油だ。ただし、他人を見下す笑いとなれば話は違う。」
一面でまさかの「お笑い論」?
朝日新聞一面の冒頭である。一面でまさかの「お笑い論」?
見出しは「『嘲笑する政治』続けるのか」(7月7日朝刊)。
安倍首相が2月の自民党大会以降、民主党政権を「悪夢」と言って会場の笑いを誘うあいさつを恒例にしてきたことを取り上げ、
《笑いや拍手は確かに起きた。それは、さげすみの笑いだった。》
《民主党政権の失敗と比較して野党を揶揄、こき下ろす。身内で固まってあざ笑う――。自分が相手より上位にあり、見下し、排除する意識がにじむ。》
このような「嘲笑する政治」が6年半まかり通ってきたのではないか、と問う。
「民主党の枝野さん」と「言い間違い」をする場面が頻発
すると当日の夕方、今度はデジタル版にこんな記事が。
「首相『民主党の枝野さん』間違い連発 演説の定番に?」(朝日新聞デジタル7月7日)
安倍首相が応援演説する際、立憲民主党の枝野代表を「民主党の枝野さん」と「言い間違い」をする場面が頻発しているというのだ。
ただの党名の言い間違いかと思いきや、
《その後に「毎回、党が変わるから覚えられない」などと「釈明」を加え、演説の定番文句になりつつある。》
という。
実際の例が書かれていた。まず6日午後の滋賀県草津市での街頭演説。
《「野党の枝野さん。民主党の、あれ民主党じゃなくて今、立憲民主党ですね。どんどん変わるから覚えるのが大変」と話すと、聴衆から大きな笑いが起こった。》
翌7日になると、
《千葉県内と東京都内で行った計6カ所すべての街頭演説で同様に「言い間違い」をして、聴衆の笑いを誘おうとした。》
なるほど、「言い間違えて」笑いを取ろうとしている様子がわかる。
それにしてもこの日の朝刊一面で書かれた「嘲笑する政治」がひとつの「論」や「見立て」だとしたら、この記事は実際に直近の演説を見て書いた「立証編」とでも言うべきものだった。首相の他人を見下す笑いは、この選挙期間中こそ絶賛展開中なのであった。