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日本の未来は地方から文苑堂書店 福田本店に見た北陸モデル

2015/06/13

genre : エンタメ, 読書

 北陸新幹線が開業し、北陸エリア、富山、石川、福井に注目が集まっている。ということで、伝統工芸品の高岡銅器をはじめとした金属工業で有名な富山県高岡市の文苑堂書店福田本店に行ってきた。

 富山県は、歴史と伝統を重んじ、教育熱心という土地柄、本屋好き要チェックの書店集中地域でもある。文苑堂書店福田本店の野坂美帆さんによると、高岡市内だとイオンのモール内に出店する喜久屋書店、車ならそれぞれ1時間かからない金沢市内の明文堂書店・金沢ビーンズ店、富山市内の紀伊國屋書店富山店に足を伸ばす方もいるという。地元書店チェーン店が元気で、競合しながらも頑張っているという点では、谷島屋や戸田書店のある静岡と状況は近いかもしれない。

文苑堂書店福田本店、駐車場が充実している。
広い店内には、ドーナツショップを併設。

 文苑堂書店福田本店は、富山県内を中心に十数店舗を展開する文苑堂グループの中核店舗だ。新幹線の新高岡駅からも在来線高岡駅、西高岡駅からも車で10分ほどの大型の駐車場を備えたロードサイド型店舗で、車社会のこのエリアにあっては、幹線道路沿いで利便性が高い立地にある。広いワンフロアにCD・ビデオ店、化粧品・雑貨、文具、ドーナツショップを併設している。野坂さんによるとコミックスやラノベ、ネット小説がよく売れるお店というが、北陸の地元紙を含む新聞書評コーナーが充実しており、藤原書店、岩波書店、みすず書房といった硬派の出版社の棚も備えている。地元文化財の本から定番のロングセラー小説、幅広いジャンルのビジネス書や実用書、かなりのスペースを割くキッズコーナーなど、硬軟とりまぜて地元の幅広い本好きのニーズに応える本屋さんだ。

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ネット小説や携帯小説が充実している。
新聞書評コーナーには、地元紙を含む5紙の書評本を毎週展示している。

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