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将棋棋士が最高にオシャレしたらどうなる?――週刊文春の将棋大会が30年ぶりに復活

将棋棋士が最高にオシャレしたらどうなる?――週刊文春の将棋大会が30年ぶりに復活

中川大輔八段&中村太地七段が賞金をかけて真剣勝負

2019/11/12
note

 

賞金の使い道? スーツを買おうかと(笑)

 中村は生真面目な表情で語る。

「普段こういう明るい色のスーツは着ないので、非常に新鮮な気持ちになります。服装って人の気持ちをポジティブに変えますよね」

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 定刻になり、いよいよ対局が始まる。一門の先輩後輩が醸し出す和やかな雰囲気は、中川と中村が特別対局室に着座すると一瞬で消えた。

中川大輔八段:イタリア・ナポリ仕立てのブラウンチェックジャケット¥158,000/デ ペトリロ、タブカラーのシャンブレーシャツ¥14,000/ビームスF、2プリーツのグルカパンツ¥39,000/PT01、ジャカード小紋柄のネクタイ¥16,000/フランコ バッシ、真鍮バックルのクラッチバッグ¥99,000/フェリージ(ビームス六本木ヒルズ)、時計 私物
中村太地七段:マルゾット生地のソラーロスーツ¥92,000、ブラックのレザーベルト¥10,000/ともにビームスF、ブラックのニットタイ¥11,000/ディマリア クラヴァッテ(ビームス 六本木ヒルズ)、比翼仕立てのレギュラーカラーシャツ¥13,000/インターナショナルギャラリー ビームス(インターナショナルギャラリー ビームス)、時計 私物

 序盤から積極的に動く中川が、飛車を使って1枚の歩を得する成果を得た。ただし飛車を元の位置に戻すために3手のロスをしてしまう。

 ジッと戦況を見つめるのは立会人の森下卓・日本将棋連盟常務理事だ。

「中川さんは欲張った指し方ですね。中村さんは歩を損した分、駒の動きで得をしようと考えているはずです」

 1時間22分後、中川が投了。90手の熱戦だった。

 

「せっかくの舞台だったから、もう少し良い内容の将棋をお見せしたかったですね。残念です」(中川)

「中川先生にはプロになる前から将棋を教わってきました。今日は勝てた事が素直に嬉しい。賞金の使い道? スーツを買おうかと(笑)」(中村)

 帰路につく中村が履くクロケット&ジョーンズのセミブローグは、中川から四段に昇段した際に贈られたものだ。その中村は、この日記録係を務めた杉本和陽(28)が四段に昇段すると、同じように靴をプレゼントしている。杉本は米長の「最後の弟子」である。

中村太地七段 Taichi Nakamura

1988年東京都生まれ。2006年、17歳でプロに。早稲田大学政経学部卒。17年、第65期王座戦で羽生善治王座に挑戦し勝利、初タイトルとなる王座を獲得。対局するときの服は着心地のよいツルッとした素材の服を選ぶことが多いという。趣味はフットサル。

中川大輔八段 Daisuke Nakagawa

1968年宮城県生まれ。87年、19歳でプロに。2011年、公式戦通算600勝(将棋栄誉賞)を達成。趣味は登山で、極真空手の経験もあり。「クセのある服が好き」というファッション通で、今回の打ち合わせの際も詰将棋柄のハンカチをポケットチーフにして現れた。

山本康一郎=ディレクション 大森克己=写真
二村毅=スタイリング TAKU(CUTTERS)=ヘアメイク

週刊文春が迫る、BEAMSの世界。 (文春ムック)

週刊文春

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2019年10月29日 発売

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