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「最近のフェミニズムどうですか?」#KuToo、上野千鶴子さん東大祝辞……田嶋陽子さんに聞いてみた

フェミニズムの“パイオニア” 田嶋陽子さんインタビュー#3

2019/11/04
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「上野さんが言うのは原理よ」

田嶋 へー、そんなことがあったの。上野さんが言うのは原理よ。私も本で書いているのは原理なのね。例えば、私の本では、タダ働きの専業主婦は「ドレイ制」の典型だと書いているけど、今までの男の人が主人公の社会だと専業主婦になる女性が便利だったわけでしょう。だから税制上も優遇されてる。その生き方を通したいと思えば、通せばいいわけ。ただやめたいと思った時、やめても不利益をこうむらないことが大事。その点からいうとシングルマザーをもっと行政は助けないとね。

 みんな誤解するのよね。私がスカートのことを、「男がすぐにやれるための服」だと言ったら、「スカートをはくな」というメッセージに受け取っちゃう。それは違う。原理から言えば、スカートは男社会が作った女の服装だけど、はくかはかないかは自分で選んでいかなきゃ。すぐ世間に従わない。自分で考える。ハイヒールも同じで、しっかりと事実を知ったうえで、自分で選択することが大事ですよね。

―― 上野さんといえば、今年の4月の東京大学入学式での祝辞も大きな反響を呼びました。入試における女性差別などに触れていて、SNS上で賛否が起きています。

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田嶋 話題になってましたね。上野さんは、東大の先生になったらおとなしくなったけど、ああいう場で言ってくれて良かったよね。なにしろマスコミが騒いでくれてよかった。

 

―― フェミニスト以外の活動についても伺いたいのですが、先生はドラマや映画で役者もされています。大学のときに1年間劇団に入ってたそうですね。

田嶋 やってましたね。ドラマにはけっこう出てますけど、教授とか社長とか、そんな役ばっかりだから、つまんなかったねえ。

―― 伊丹十三監督の『スーパーの女』では、スーパーの常連客の役でしたよね。伊丹監督との思い出はありますか?

田嶋 伊丹さんは、真っ赤な長いストールを巻いた格好で出迎えてくれたのが、印象に残ってます。苦虫を噛みつぶしたような顔してるのが男らしいと思われていた時代にすごく新鮮で、とてもにこやかで優しかったですね。